第13期4月サポセン講座のご案内

最低賃金引き上げによる格差是正は雇用・経済政策にどう影響するのか
講師: 伊藤大一(大阪経済大学准教授)

日時: 4月1日(金)18:30
会場: エルおおさか604号

 (大阪メトロ谷町線・天満橋町駅下車)
受講料: 一般:800円個人・団体会員:500円

 長引くコロナ禍のなか格差拡大が顕在化しています。各種調査でもいわゆる中間層が減少していて、可処分所得でみると年収400万円以上が減り、200万円以下がここ20年余りで倍増しているとあります。就労者の2000万人、4割におよぶ非正規労働者の賃金が最賃に張り付いてき
ていることも大きな要因です。
 最低賃金の引き上げは、格差是正へのひとつの有効な方法であると同時に、低所得者、貧困層への救済的側面、生存権の問題としてあることは言うまでもありません。だから最賃引き上げを重点課題として、コミュニティユニオンを始めさまざまに取り組みが展開されてきました。
 私たちは全国どこでも一律1500円を求めています。一律が大切なのは、現状の最賃の地域間格差(221円)が、地方の衰退、一極集中を生み出しているからです。また労働組合は企業内最賃制度に尽力すべきと主張しています。
 国際基準でも最賃額は「労働者とその家族に必要な額」となっていますが、日本では欧米と比して最賃額が低いと言われてきました。その要因としてあった企業の「支払い能力」論は、生活保護水準との逆転現象の問題もあってなんとか克服されてきました。しかし最大の壁は、最低賃金引き上げが、「雇用の減少を生み出し、失業が増大する」という経済政策のドグマでした。ところが近年この定説が、経済学の研究者から覆されてきています。とりわけ2021年ノーベル経済学賞を受賞したデビット・カード氏の「最低賃金と雇用の関係についての実証研究」の提起から、さまざまな実証実験がおこなわれ、その結果として「最低賃金上昇による雇用量の変化を認めない」との結論に至りました。
 こうした最新の経済学説を紹介していただいている伊藤先生に、「賃金か雇用か」の議論をわかりやすく解説していただきます。
 ご参集ください。